朝のびわ湖。
風もなく、空もまだ眠っているような時間。
水面に浮かぶ二羽の鴨が、互いに寄り添いながら、長い旅の途中でそっと羽を休めているような、また、朝の散歩を楽しんでいるような感じでした。
一羽は前を向き、もう一羽は羽を整えながら振り返る。
その仕草に、長年連れ添った夫婦のような親しみを感じました。
湖の静けさに包まれながら、二羽の姿が水鏡に映る——
それは、秋のはじまりを告げる小さな儀式のようでもありました。
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合鴨の夫婦でしょうか
一羽は朝の毛繕い中。相棒は見守り役です。

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「次は私の番」と云うことで見張り役の交代です。
穏やかな表情が心に残ります。

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ふたり並んで、波紋も立てず。
湖の朝は、言葉より静かな対話に満ちています。

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言葉はなくても、並んで泳ぐだけで通じるものがある。
湖の朝、ふたりの約束なのかも知れません。
「もう少し向こうまで行こうか・・・」

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無言の会話が通じたように少し進み始めました。
静寂の水面に、ふたつの影が寄り添う朝です。
湖の息づかいに耳を澄ませば、今日もまた、やさしい始まりがあります。

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花と鴨、静けさの対話
ひとつは根を張り、ひとつは水に浮かび。
湖を眺めているような・・・
湖は静かに見守っているような・・・
しかし、どちらも、今日を生きています。

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水鏡に映る、ふたりの時間
ひとつは羽を整え、ひとつは前を向く。
沈黙の中に、やさしい会話があるような気がします。

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沈黙の中で、通い合う心
向き合うでもなく、離れるでもなく。
ふたりの距離は、年月が育てたやさしさでしょうか。
羽音も声もない静かな湖畔の朝。
ただそばにいることが、いちばんの愛のかたちなのかも知れませんね。