道を歩いていると、さまざまな花との出合いがあります。
ひときわ目を引く鮮やかな花、草陰にひっそりと咲き、誰にも気づかれずにその命を全うする花、そして密やかに命を繋ぐためだけに咲く花。儚さに湛えながら、それぞれの存在が自然の営みに寄り添っています。
今日は、そんな「儚さ」を感じさせてくれた花々を、歩いた道筋の記憶とともに集めてみました。
選んだのは、露草、駒繋(コマツナギ)、ヤブミョウガ、ギボウシ、南天の花です。
どれも目立たないけれど、心の奥に静かに語りかけてくるような美しさを纏っています。
①【ギボウシ】
儚さが漂う花の代表はギボウシでしょうか。
比叡の山並みを背景に、そっと咲き始めたギボウシの花。
雨上がりの光をうけ、葉の縁に溜まる露が、花の儚さを際立たせていました。
比叡の山並みを背景に、そっと咲き始めたギボウシの花。
雨上がりの光をうけ、葉の縁に溜まる露が、花の儚さを際立たせていました。
昔から庭園を彩ってきたこの花は、静寂の美を語り継ぐように、
今もなお人の心をとらえて離さない。
瞬きのあいだに過ぎゆく季節の中で、ひとしずくの命がここにありました。
今もなお人の心をとらえて離さない。
瞬きのあいだに過ぎゆく季節の中で、ひとしずくの命がここにありました。
雨に濡れると溶けてしまいそうな薄くて弱々しい花です。
大きな葉の中からすっと伸びた茎に花を付ける姿は、意外にもバランスが整っています。
朝露に揺れながら、静かに咲くギボウシの花。
その薄紫の姿は、時のはざまに浮かぶ夢のようでもありました。
過ぎゆく季節を知りながらも、そっと命を輝かせるその一瞬が、
「儚さ」という名の美が今ここにありました。
②【ヤブミョウガ】
その薄紫の姿は、時のはざまに浮かぶ夢のようでもありました。
過ぎゆく季節を知りながらも、そっと命を輝かせるその一瞬が、
「儚さ」という名の美が今ここにありました。
②【ヤブミョウガ】
朝露のように、姿を現し、陽に触れれば消えてしまいそうな透明感。
ヤブミョウガの花は、見る者の心にそっと優しさを語りかけてくれます。
真っ黒な背景に浮かぶヤブミョウガの花
花は雨に濡れると透明感が増し蝋細工のような姿になります。
③【駒繋(コマツナギ)】
花は雨に濡れると透明感が増し蝋細工のような姿になります。
③【駒繋(コマツナギ)】
夕暮れの河原、そよ風に揺れるコマツナギの花。
「駒繋ぎ」という名には諸説あり、
・茎が丈夫で馬を繋ぎとめられるという説
・馬がこの植物を好み、離れなくなるという説
後者の方が有力とされています。
石混じりの土手に咲く薄紅の花。
たくましさと可憐さをあわせ持つ。秋に咲く「萩」に似た美しさがあります。
「誰も見ぬ 路の片隅に咲く花は ただ風のみと 語らひにけり」
(誰にも顧みられず咲く花は、ただ風とだけ言葉を交わしていた)
⑤【露草】
風にそよぐ露草は、万葉の昔も今も、朝の静けさに寄り添います。
咲いては消える、その儚さに心を寄せてみました。
雅に咲く朝露の君
野辺にぽつりと咲くその姿は、まるで平安の姫君のようです。
露草の青が、古の風情をそっと呼び起こす。
朝咲いて午後には萎んでしまう花で、月草、蛍花とも呼ばれています。
夏の記憶
少年の頃に見つけた露草。
あの朝の蒸気、光る露、そして誰かの優しい声が聞こえたような記憶があります。
その時も道端にそっと咲いていました。
⑥【南天の花】
少年の頃に見つけた露草。
あの朝の蒸気、光る露、そして誰かの優しい声が聞こえたような記憶があります。
その時も道端にそっと咲いていました。
⑥【南天の花】
人知れず咲く白い花と黄色の蘂。
庭の片隅で房の様に咲いています。
誰かの目にとめられることも無く咲く一房の花、風に揺れる姿は重さを感じます。
「人知らぬ 花も風も ことのはに」
(人に知られずとも、南天の花も風も、それぞれが言葉を紡いでいる)
*
ひととき咲き、そして去ってゆく花たち。
露に濡れ、光に透け、誰にも気づかれぬまま、そっと季節の隙間に揺れていました。
その姿は、日々に埋もれてしまいそうな感情を呼び覚ましてくれるようです。
儚さとは、消えることではなく、美しさの純度に触れること。
次にまた、誰かの足元に小さな青が咲くとき、この記憶も静かに息づいているはずです。














コメント
コメント一覧 (2)
ひっそりと咲く野の花も言葉をかけてもらい、美しい姿を現して喜んでいることでしょう。
南天はお正月用に実が付いたものしか見たことがありませんでした。
Ippei
が
しました
いのではと思います。
真っ赤な実の成る前の花がこんな色だとはね。
今ほど花の種類が多くなかった昔の人々は、野に咲く花を見て楽しみ季節を感じながら過
ごされたのでは無いかと思います。
Ippei
が
しました