160年間変わらぬ味を守り続ける銘菓、「でっち羊羹」。
その歴史は、近江商人発祥の地として知られる近江八幡にまで遡ります。
1863年(今から160年前)、この地で創業した老舗「和た与」によって生み出されたのが始まりです。

先日、近所の奥様が「ちょっと珍しいものを頂いたので、おすそ分けです」と持ってきてくださいました。
思いがけず手にした伝統の味を、じっくりと味わうことができました。


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はて・・・?
私がこの「でっち羊羹」を口にするのは何十年ぶりか・・・思い出すことが出来ません。
たぶん子供の頃から今まで、実際に食べたのはほんの数回ほどだと思います。
それでも「でっち羊羹の味」はしっかりと記憶に残っています。

裏には
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『近江商人発祥の地、近江八幡
「でっち羊羹」は、商家に奉公していた丁稚さん達が藪入り(帰郷)の際に、ご主人や家族へのお土産にしたことから、その名がついたといわれています。』
そのように書かれています。

とりあえず開てみましょう。
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記憶にある外観と全く変わりはありませんねえ。
昔からの「でっち羊羹」そのままです。
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さっそく味わってみました。
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小豆と砂糖を混ぜた蒸し羊羹で、羊羹の表面に竹の皮の縦縞がそのまま綺麗な模様となって刻まれています。
見た目から素朴さが伝わります。
そして、どことなく「しっとり」として美味しそう。

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この味は、昔から変わらず守られてきたものでした。
甘すぎず、素朴な美味しさが日本茶によく合い、懐かしさを感じさせてくれます。
やはり、優しい味わいで、とても美味しいです。。
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しかし、地元の人がわざわざ買い求めることはあまりなく、「食べたことがない」という滋賀県民の方が多いかもしれません。
それでも160年もの間、受け継がれてきたというのは、不思議と言えば不思議なこと。
今回、この珍しいお菓子を口にできたのも、「おすそ分け」の文化が根付いているからこそでした。
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この地域では、近所や親戚同士の「おすそ分け」や「食べ助け」といった文化・風習が、今もなお残っています。
現代では煩わしく感じる人もいるかもしれませんが、「遠くの親戚より近くの他人」と言われるように、地域の助け合いの精神は、日々の生活に溶け込んだ習慣として、これからも続いていくのでしょう。